福田会長より新年のご挨拶

 昨冬のことです。少し早めの忘年会で何年ぶりかで銀座に足を踏み入れました。

基本的な街の構造は変わっていないのですが、そこここに新しいビルが建ち、風景は一変していました。会場には老いた仲間が20人ばかり顔をそろえ、近況報告やら昔話でそれなりに盛り上がったのです。

帰りがけ、4人の仲間が有楽町駅近くの居酒屋にいました。驚いたことに、どの店も満席で行列ができているのです。やむなく最後尾に並んでようやく店内に入ったものの、注文から会計まで、すべてスマホで行うのだということでした。若い女店員の手を借りて何とか酒、肴がテーブルに届きました。「いつもニコニコ現金払い」は過去のことなのです。

現金からの連想でしょうか。新幹線の中でジャン・ギャバン主演の映画「現金に手をだすな」を思い出しました。変わりゆく世の中になじめない老いたギャングが二人、最後の大仕事として5000万フランの金塊を強奪したのです。ところが、二人の犯行が新興の若いギャングの耳に入り、相棒が拉致されてしまいます。金塊は身代金として、そっくり若いギャングのものとなったのです。

老獪なはずの老いたギャングが力業だけの若いギャングに手もなくお宝を攫われてしまったのです。

金塊強盗には失敗しましたが「彼らはまた何事かをやらかすに違いない。きっとやる」と思いながら、多少の寂寥感とともに映画館を後にしたことをおぼえています。今さら強盗犯になろうとは思いませんが「彼らのように決して諦めない、そしてちょっぴり粋な老人になりたい」と思うのです。

明けましておめでとうございます。年頭にあたり会員の皆様のますますのご健筆を祈念いたします。

会長 福田三男